現場を知らない市民が、ワーストワンと決めつけられる鶴見川の姿を想像すれば、生きものにとっても地獄のような川と思いこんでしまう可能性があります。そんな思いこみの罠にかからないためには、その鶴見川、さらにその下流部にも、豊かな水生生物の姿があるということを、知りまた、広報しておく必要があるでしょう。
鶴見川の源流域にはホトケドジョウやアブラハヤが暮らしています。上流部にはオイカワが多産しカマツカも回復しています。上流、中流域には、アユやマルタウグイが遡上して、マルタウグイは繁殖を再開しています。水質の改善と、川の構造の適切な改造がすすめば、とおからずアユの繁殖も期待して良いでしょう。国の水質測定区間である下流部には、マハゼ、ウナギ、コイ、ボラや、多数の テナガエビなどが暮らしています。
2002年夏、たまちゃんの滞在した下流部は、上げ潮・引き潮の海のリズムにのって海水が進入し、その海水にのってたくさんのハゼやボラやエビが移動する、生きものにぎわう流れでもありました。行政も、市民活動団体も、この現実を、鶴見川の水の世界のもう一つの現実として、しっかり広報してゆく必要があるでしょう。