“環境文明”への転換のために、私たちは“産業文明”のエンジンである“都市”に注目しています。“都市”に居住する人口の割合は、今後ますます増加すると予想されています。そのような状況の下、“都市”を、自然との共生を促す文化・技術・科学・産業・生活様式・すまいのセンスを育て発信・提供する拠点、地球人を育てる拠点として“再生”してゆくことが、文明転換の鍵と考えているからです。
都市“再生”における課題は、大きく2つに分類することができます。1つ目は「経済・情報の効率化・国際化」であり、都市活性化・少子高齢化への対応・都市間競争・コンパクトシティー・スマートシティーなどがあげられます。2つ目は「自然との共生」です。
「流域思考」が解決しようとしている課題は、2つ目の「自然との共生」です。さらに、「自然との共生」への課題は、大きく2つに分類することができます。1つ目は、生態系(ランドスケープ)がもたらす恵みを維持・保全すること=生物多様性の保全であり、具体的には自然環境の保全や利水活用などがあげられます。2つ目は、生態系(ランドスケープ)がもたらす危機に対応すること=自然災害への対応であり、地球温暖化緩和策・地球温暖化適応策・水災害対策などがあげられます。
個別の課題は、上記の視点にたって、対象としている流域の現状に応じて、設定されます。
鶴見川流域における実例
鶴見川流域水マスタープランでは、鶴見川流域における課題として、「治水」「水質の改善と水量の回復」「自然環境の保全」「震災への対応」「流域意識の啓発」を、解決すべき課題として設定しています。