鶴見川は、東京都町田市小山田の源流の泉に発し、多摩丘陵、下末吉台地を刻み、横浜市鶴見区生麦で東京湾に注ぐ一級河川です。本流の全長は、 42.5キロメートル。横浜市、川崎市、町田市、稲城市にまた広がる235平方キロメートルの流域は、斜め後ろから見たバクの形に似ています。
近年の急激な都市化を受け、約190万人の暮らす鶴見川流域は、すでに流域面積の85%が市街地となり、流域開発のつけを一身におう典型的な都市河川となっています。しかし川辺や流域には、自然の賑わう驚きの世界があるのもまたまぎれもない事実です。
こうした鶴見川流域で、持ち場をもち、環境保全やまちづくりで多彩な活動を展開する市民団体が連携して、1991年(H3)春、鶴見川流域ネットワーキン グ(TRネット)を発足しました。2003年(H15)3月にはNPO法人鶴見川流域ネットワーキング(npoTRネット)も設立し、バクの形の鶴見川流 域に愛着をもち、水辺や流域の自然の賑わいを励まし守り、川を軸に、流域の規模で、安全・安らぎ・自然環境・福祉重視の川づくり・まちづくりを通じて、自 然と共存する持続可能な流域文化の育成を目指しています。
鶴見川流域クリーンアップ作戦は、こうしたTRネットの理念に沿って、「みんなでみがこう バクの流域ピッカピカ」と いうキャッチフレーズを掲げ、流域の学校や企業の方々の参加をさらに積極的に呼びかけ、足元の川と地域の清掃を通じてその魅力を再発見し、私たちの暮らしの場である鶴見川流域への愛着を育ててゆこうという目標のもと、実行委員会形式で実施している流域行事です。それぞれの実施場所では、近年の集中豪雨によ る水難事故への防災意識の啓発活動や鶴見川の魅力にふれるお楽しみイベントもセットで実施しています。
1994年の第1回は、24団体延べ 866名の参加でしたが、昨年度の第19回では自治会・学校・企業など延95の実施団体が37ケ所でクリーンアップを行い、918人の方が参加されまし た。第1回目から通算すると23,551人の力に支えられる流域活動になっています。
私たちのクリーンアップ作戦は、流域の市民・市民団 体・企業・行政が一体として取り組む健全な水循環を創出する「鶴見川流域水マスタープラン」の市民アクションプランとして、2009年、第1号の登録とな り、今年はアクションプラン最終年の5年目になります。推進の指標である実施団体数と賛助・協賛・協力諸団体の数も、順調に推移しています。クリーンアッ プ作戦で連携する団体が中心となって、学校・地域組織・企業などの水マス推進サポーターも年々その数を増やしており、現在134団体。相互に協力連携しな がら、流域を守り慈しむ力が強化されていると感じています。また、クリーンアップをあたたかくサポートし続ける地元行政、流域企業との協働は、さらに進め てまいります。
記念すべき第20回目を迎える今年、npoTRネットは流域のクリーンアップ実施団体が一堂に会し、互いの成果を報告しあう「TRネットの鶴見川流域クリーンアップサミット(仮称)」を開催いたします。
私たちのクリーンアップ作戦はTRネット活動の軌跡でもあります。19年の実績を踏まえ、共通のマニュアルを遵守し、安全対策にも配慮し、楽しく、責任あ る流域クリーンアップ作戦を進めます。TRネットの鶴見川流域クリーンアップ作戦が、今年もまた多くの「バクの川」ファンに出会い、市民・企業・行政の パートナーシップを励まし、水マスタープランのさらなる充実を支え、バクの川とその流域を愛し蘇らせる新しい流域文化の創造にしっかり寄与してゆけますよ う、みなさまの大きなご支援を、よろしくお願い申しあげます。
2013 年度流域実行委員長 庄司佳子
2013年度「鶴見川流域クリーンアップ作戦」事業は、
社団法人関東建設弘済会の公益助成を受けて実施しています。