Rio+20 ・TRネット・流域思考

歴史的な瞬間です。ブラジルRio で、国連地球サミット<Rio+20>が開催されています(※TRネット通信60号発行時)。同じくRioで開催された1992 年の国連総会<地球サミット>の20 年を記念し、地球環境危機への国際連帯を確認する大会議です。地球環境危機が国連の大課題になったのは、「成長の限界」が出版され、ストックホルムで「国連人間環境会議」が開催され、<Only one Earth>の標語が世界化した1972 年。今年はその40 年の節目でもあるのでした。しかし、この静かさは、どうでしょう。我が国の報道は最小限。Rio+20 開催を知る市民や学生は1 割もいるのかどうか。産業文明が地球限界に衝突とのニュースの流れた72 年、気候変動と生物多様性の危機に係わる国際条約が提案された92 年とは、天地雲泥の差というほかありません。

でも、悲観はちょっと待ちましょう。地球環境危機対応のモットーは<地球的に考え地域で行動する>。その視野でいえば、危機は常識化し、条約や議定書は動き出し、もはや大会議で討議すべきセンセーショナルなテーマなし、ということなのではないか。Rio+20 のテーマは<持続可能な緑の経済>です。地球的な危機も対応策の基本も理解した。しかしまずは絶対的貧困の人々を経済的に支えなければ、人口抑制も環境・資源関連技術の展開も温暖化・生物多様性対応も画餅というのが厳しい現実。その現実をテーマ化することこそ、Rio+20 の歴史的使命であってよいのです。私はそう理解し、理想と現実をしっかり踏まえた途上国支援のまとまることを祈念します。そして同時に私は、私たちTRネットが、モットーのもう一方の地域領域の極を、日本国首都圏のまん中で日々生ききってきたと、強く強く振り返ります。

リオサミットを直前に控えた92 年5 月、TRネットの発した<流域宣言>に次の一節があります。

「地球サミットを目前にして・・、(TRネットは)<地球的に考え地域で行動する>という指針に、・・流域で考え流域で行動するという、中間項のようなものを工夫しはじめているのかもしれません」

水マスタープランを応援し、行政、企業との連携を深め、温暖化適応策、生物多様性保全回復、次世代育成にまい進するTRネットは、地球サミットのモットーの通り、流域思考を共有しつつ、正しく地域を支えている。サミットに遠く近く呼応しつつ、我らなおこの道をゆかん。

npoTRネット代表 岸由二

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