鶴見川流域は、総合治水から流域水マスタープランにいたる上記のような河川・環境行政の流域再生努力と呼応しながら、流域規模で連携する<鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)>が、草の根の連携・協働活動を推進し続けてきた流域でもあります。
1991年、13団体の流域連携でスタートしたTRネットは、危機の川・鶴見川とその流域に愛着し、水辺や流域の自然の賑わいを再発見し、川を軸に、流域規模で<安全・安らぎ・自然環境・福祉重視のまちづくり・流域文化づくり>を目指す流域市民活動として成長し、2003年春にはNPO法人を立ち上げるにいたりました。以後の新生TRネットは、NPO法人(特定非営利活動法人鶴見川流域ネットワーキング=npoTRネット)と、流域各地において協働作業を進める地域団体で構成される連携鶴見川流域ネットワーキング(連携TRネット)の協働によって推進されてゆく河川・流域活動になりました。
参加団体(46団体(2013年3月現在))はそれぞれの持ち場で活動し、npoTRネットとの協働を通して流域規模で連携して各種の調査・提言・イベント主催等をすすめ、市民・行政・企業の連携も深めつつ、「鶴見川水系河川整備計画」、「鶴見川流域水害対策計画」という2つの法定計画を軸に、水マスタープランの多様なアクションプランをツールとしつつ、また水マスタープランの広報を多様な回路で応援し、流域再生をめざす鶴見川流域コミュニティーの強力な市民エンジンとなることを目指しています。
TRネットの環境保全分野に関する年来の基本提案には、
- 森と泉と清流を包む広大な源流自然公園の工夫
- 新横浜多目的遊水地における広大な都市型ウェットランドの回復
- 高水敷を中心としたの在来の自然植生の回復・管理
- 河口生麦における干潟地形を生かした賑やかな河口公園の開設
- 流域全体規模の水と緑の自然拠点のネットワーク形成
- 川歩き・流域歩きの促進と流域散策路網の実現
- 水辺の活動や河川流域学習を支えるセンター・サブセンターシステムの構築
- 流域視野の環境保全推進にむけた、市民・企業・行政間の流域パートナーシップの育成
等がふくまれています。
2011年現在、提案の過半はおおむね実現し、活動はさらに賑わいをましています。
TRネットは、尾根や水系にそって流域の散策路を選定する川歩き/流域ウォーキングのプロジェクト、学校やこどもたちの総合的な流域学習、さらには児童・生徒・学生の支援育成にも対応して活動する流域学習推進・次世代育成のプロジェクト、各種の自然調査・研究ならびに環境管理の諸分野にわたる環境プロジェクト、流域クリーンアップ作戦プロジェクトなども推進しており、流域視野の文化・教育・まちづくり関連活動への取り組みをさらに強化させつつあります。
2003年6月、鶴見川多目的遊水地が機能しはじめました。これに続く同年9月23日、同遊水地脇に設置された遊水地管理センターの1,2Fに、バクの形の流域の多彩な地図を満載し、流域水族館を擁し、流域の自然・市民活動・治水施策などを総合的に学ぶことのできる地域防災施設、「鶴見川流域センター」がオープンしました。2008年には綱島地域にサブセンターもスタート。npoTRネットと連携TRネットは流域センターの運営を支援し、またこのセンターを流域全体の交流拠点としつつ、「流域スタンプラリー学習」など、さらに様々な工夫を重ねて、水マスタープラン広報・推進の市民側のエンジンとなっています。